
私は今、タイの「ゴルフ場予約サイト」のコンサルティングを、日本からリモートでしている。以前はタイから日本の仕事をリモートでしていたのに、コロナですっかり逆転してしまった。
タイの会社の社長は30代の女性なのだが、なんというか、とても個性的な見た目をしている。アーティストのようなファッションに、髪はベリーショートのツーブロック。色はネオンパープルだ。
タトゥーや金髪を見慣れている私でさえ、ここまで個性的だと「一般的には」や「通常は」などという言葉を、口にできないパワーを感じる。
セクハラかどうかは相手が決める
先日、Zoomでゴルフイベントの話になった。意見を求められたので、
「アマチュアとプロが一緒に回るプロアマで、グループごとのチーム戦をやったらいいのでは?」
と提案したところ、
「んー、良いアイディアだけど参加するプロは若くて美人がいいわね。何人必要?」
と言われ驚いた。日本だったら即座に「セクハラ」と言われかねないが、ネオンパープルのボスが言うと、歯切れの良さしか感じない。
その会社の社員と以前、プライベートでチャットをしていると、社長の話になった。そのときに社員は、
「彼女は強いパーソナリティを持っているけど、ダイナソーじゃないからね」
と言っていた。「ダイナソーって何?」と訊くと、若者のアイディアや、新しい文化や慣行を破壊する、オールドタイプの上司のことだと教えてくれた。海外ではそういった人物を「ダイナソー(恐竜)」と呼ぶらしい。
老害だと思われないために
ダイナソーの下で働くことはキャリアの損失であり、失業率が1%台で求人売り手市場のタイでは、転職の理由になってしまうそうだ。その社員もダイナソー上司が嫌で転職してきたと言う。
「ダイナソー(恐竜)」は、日本語に置き換えると「老害」だろうか。
ネオンパープル社長も、外部の私からみると大なり小なりダイナソー的なところはあると感じる。まだ若いので「老害」という表現とは合わないが、経営者として慎重な一面もあり、ボトムアップの提案をなんでも採用しているわけでもない。
大事なのは、彼女が部下から「そう思われていない」ということだ。
そして私は、彼女の見た目が「そう思われていない」ことにかなり効果を発揮していると思っている。
あなたのUIアップデートはいつ?
人を見た目で判断してはいけないというが、メラビアンの法則によると、人の印象の55%は見た目に左右される。
だとすると、立場上クリティカル(批判的)な指摘を必要とする人ほど、「この人は常識や前例で言ってるわけではない」と思わせるような見た目を意識した方が良い。
インターネットの世界では、情報を入力したり出力するためのデザイン(見た目)をUI(ユーザーインターフェース)と言い、そのUIによって持たされるポジティブな顧客体験をUX(ユーザーエクスペリエンス)と言う。
これにならうと、仕事上、情報のタッチポイントとなる上司の「見た目」や「使い勝手」は、デジタルネイティブな若者にとってとても重要だということになる。
あなたのUI(見た目)はどうだろうか?