「ググレカス」と「米炊3年」は同じ!? 指導者に求められる新しいUX
2021.02.03

「ググレカス」と「米炊3年」は同じ!? 指導者に求められる新しいUX

 先日、“令和の若者はggrksが通じないという事実に、インターネット老人会が震撼。どうしてggrksは衰退したのか?”……というトピックが上がっていました。

一見すると、古代ローマの偉人を彷彿させる「ggrks」は「ググレカス」の略称で、「(人に質問する前に)それくらいGoogleで検索しろカス野郎」という意味のネットスラングです。主に初歩的な質問をする人をディスる(批難する)際に使われます。

回答者にも質問者にもなる世界

 私にしても、ゴルフについての質問で「スライスってなんで出るんですか?」と質問を受けると、(わざわざ私に聞かなくても、スライスの原理はブログやYouTubeで何万という記事が上がっているので、自分で調べれば良いのに……)と思ってしまうことは正直あります。

一方で私自身も、専門家の友人に初歩的な質問をしてしまうことがあります。先日は自分のブログでフォントを変えたくて「Wordpressでブログのフォントって、どうやったら変えれるの?」と思わずチャットしました。

回答に「Webフォント」「CSS」などの言葉が出てきて、最終的に「Wordpress ウェブフォント CSS」というキーワードで、自分が知りたい情報の記事にたどり着くことができました。

リテラシーによりアクセスできる世界が異なる

 Google検索で知りたい情報にアクセスできる確率と、その分野での「リテラシー(読解記述力:用語を正しく理解、使用できる能力)」の高さには、正の相関関係があります。

先のゴルフの例の場合、「スライス 原因」と調べるよりも、「スライス 飛球の法則 原因」と検索した方が、より専門性の高い情報にアクセスできるので、情報精度が格段に上がります。

その分野に詳しい専門家は、専門用語で検索するので、論文のようなより専門的な情報にアクセスできますが、専門用語を知らない素人の場合、素人が書いたブログ程度の記事にしかアクセスできない可能性が高いのです。

After ggrks時代の指導法

 「ググレカス」の言葉の背景にある、“Googleに情報はあるのだから、忙しい俺に訊かないで、自分で調べてから質問しろよ”……という、リテラシー強者の言い分は理解できます。ですが同時に、“寿司が握りたければ、まずは米炊き3年やってからだろ”に似た威圧感も感じるのです。

一方で、職人経験1年未満の寿司職人が、ネットで様々な情報を集めてミシュランガイドに掲載される時代です。「ググレカス(=米炊三年)」という言葉そのものが、UXが悪いと思いませんか。

私もゴルフの専門家として、素人には優しく難しくない言葉で教えることが親切だと思い込んでいました。しかし、After ggrks時代では、あえて専門用語や難しい知識で回答することも、愛のある新しい指導法なのかもしれません。

リテラシーにより、アクセスできる情報の質には雲泥の差がある。指導者は、質問者の情報リテラシーも考慮する必要があるかもしれない。

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