DXとはなにか?
UXとともに、注目されているキーワードにDX(ディーエックス)があります。
DXは「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略称であり、直訳すれば「デジタルによる変容」です。では、なにを「変容」させるのかといえば、「ビジネス活動すべて」です。
経済産業省の『DXガイドライン』では、
DXガイドライン
“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務プロセスや組織、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”
と定義されており、要約すれば「データとデジタル技術を活用して、競争上の優位性を確立すること」となります。その意味をさらに噛み砕けば、「今後のビジネス活動の付加価値は、データとテクノロジー活用によって生み出される」というメッセージを汲み取ることができます。
しかし、注意しなければいけないことがあります。それは当たり前のことですが、手段が目的化してはいけない、ということです。
UXのためのDXにこそ意味がある
DXは手段です。ではその目的はというと、競争上の優位性を確立すること。言い換えれば「新たな付加価値を生み出すこと」です。そして「新たな付加価値」は、製品の機能の向上にあるのではなく「体験価値の向上にある」というのが、UX思考だと言えます。
つまり、UX追求の手段としてDXは考えられるべきであり、ただデジタル化すればいい、テクノロジーをどんどん導入すればいい、というものではありません。
このようなDXの目的が言語化・共有されないままに行われると、手段が目的化してしまい、誰のための、何のための「変容」かわからなくなってしまいます。加えて、目的としてのUX、そのための手段としてのDXを押し進めるには、相応のリテラシーが必要です。
DXに失敗する企業の共通点
DXを推進しながらも、失敗に終わっている企業やプロジェクトの共通点は、テクノロジーに対するリテラシーと同時に、UXに対するリテラシー不足が挙げられます。
解決策としては、第一にまずは自分自身がユーザーとして、さまざまなテクノロジーやサービスに触れ、いいUXの経験値を蓄積すること。そのとき、いいDXから発生するいいUXの経験値が増やせたなら、なお良いです。
第二には、自分がそれらのテクノロジーを使いこなし、サクサクユーザーになること。そして第三に、「自分の仕事における不便の解消」と「周囲3メートルのUXの向上」に挑戦することです。DX化の成功は、あくまでもその延長線上にあります。
UXのアンテナを敏感にし、UX視点を鍛えるために『UXジャーナル』記事をぜひ参考にしてみてください。