
コロナ禍は私たちのワークスタイルを一変させましたが、中でもオンライン会議は一気にビジネスシーンのメジャーとなりました。
画面共有、ブレークアウトルーム、ホワイトボード、投票機能など、リアル会議を超える利便性を備え、在宅で行えばマスク無しで表情が見えるというリアル以上の情緒性さえ提供しています。
最も生産性が高い機能は“会議を録画”
そんな数あるオンライン会議がもたらす高UX(機能)の中で、最も重宝し、生産性に劇的な影響を与える機能はなにか。一つだけ挙げるとするなら、それは「録画機能」ではないでしょうか?
ホストに会議を録画してもらい、そのデータをYouTubeにアップロードして公開する。ただそれだけで、会議に出席できなかったメンバーも、通勤時間や仕事のスキマ時間に会議のビデオをAnywhere、Anytime、Anydeviceで確認することができます。
そのため、会議の出席者を限定することが出来ますし、会議そのものがデータとして残るので、議事録を取る手間も省けます。
余談ですが、会議の音声を自動で文字起こししてくれるアプリを使ってGoogle Docuementで残しておけばDrive内OCR機能検索で、調べたい単語が出てきた会議のファイルを一発で紐付けられます。探す手間さえもありません。
会議を倍速再生しても理解度は変わらないという事実
さらに最近発表されたUCLAの研究によると、ビデオを倍速再生して見ても理解度が変わらないことが分かっています。
要約
大学のオンデマンド授業では85%の学生が倍速再生機能を使っていることが分かった。それを危惧した大学が1倍、1.5倍、2倍、2.5倍の再生速度で講義を聞くワークグループを作ってテストを実施したところ、通常再生と2倍速再生の間でテストの点数に差はなく、2倍速を2回見たグループは同じ時間を費やした通常再生グループよりもテストの点が向上した。
これはつまり、ほとんど発言しない会議であれば、欠席して後で倍速で会議を見る方が、欠席者数の生産性を2倍(1時間の会議が30分で理解できた)にすることが出来るということでもあります。
実際に1万人規模の企業では、1年間に約67万時間、約15億円も「ムダな会議」に費やしていると言われています(大手人材サービスグループの研究機関「パーソル総合研究所」)から、この方法を使うだけでも生産性に大きな影響を与えることは容易に想像できます。
ほとんどの人にとって会議は不要?
このように見ていくと、リアル会議に出席する必要があるケースというのは、
(1)緊急度が高い(重大かつ即座に対応しないといけない)
(2)自分の発言機会が約束されている
(3)意思決定に参加する
のいずれかの場合でのみ、初めてオンライン会議の生産性を上回ることになります。
ここまで読んでみると、もしかしたら会議ってほとんどの人にとって不要なのかも知れません。あなたはどう思っているでしょうか。
一方で多くの方が、「上司に呼ばれたから仕方なく」「出ないと評価に響く」という理由で「ムダな会議」に出ているようにも見えます。
会議は出るものではなく、観るものへ
コロナ禍で実施された大学のオンデマンド授業についての理解度調査では、オンデマンド授業の方がリアルよりも理解しやすいと答えた学生が68.6%、対面と変わらないが17.4%、対面の方が理解しやすく学びやすいが13.8%でした。
オンデマンド授業の優位点として「理解できなかった箇所も何度も見返せる」というコメントが最多でした。要するに生産性だけではなく理解のUXという観点でも優れているということです。
もし、あなたが会議の主催者で、メンバーに会議の内容を「理解してほしい」のであれば、敢えてメンバーを呼ばない方が良いことを教育機関のデータは教えてくれています。
あなたの会社でも「観る会議」をはじめてみませんか?