雑談マニュアルの有無で対話のUXはどう変わるのか
2021.06.30

雑談マニュアルの有無で対話のUXはどう変わるのか

 リモートワーク化で、企業(と社員)が得たものはたくさんあります。出社という移動時間(場合によっては満員電車)からの解放。それに伴う交通費の劇的な削減。これを機に事務所を縮小した話も耳にしますから、賃料を大幅に下げた会社も少なくないでしょう。

他にも無駄な会議や出張も減りましたよね。その分、個人の生産性は高まっていそうです(自宅の作業環境の確立に四苦八苦された方もいらっしゃるでしょうが、おおむね)。

けれど、「なくなっても影響がない」と思われていたもののなかには、実はものすごく大事だったものもあるようです。特に今、とりわけ大企業で見直されている(焦っている)ものが、「雑談」です。

必要な会話しかしなくなったら(未来はない)

 当たり前のことですが、必要な会話しかしなくなったら、相手のことや状況はわかりません。家族でも、今日はご飯がいるのか、いらないのか、何時に帰ってくるのか、帰ってこないのか、お金が足りるのか、足りないのか。そんな話だけでは、その人の「実際」はてんでわかりません。

会社は家族ではないですが、関係する業務やプロジェクトのやりとりだけでは、その人の置かれている環境や状況、ポジティブな情報もネガティブな懸念も、見えてきません。なにより、新しい人と関係性を築いたり、深めたりすることもなくなります。それらは「業務外」のことですから。

でもそれだと、組織は弱体化していきます。「意外な(偶然の)組み合わせ」が失われるからです。大げさに言えば、会社からもその会社に属する個人からも、「運」がごそっと抜け落ちるということです。「運」のない存在に、明るい未来は望めません。

日本を代表する企業からのお悩み相談

「今年の新入社員には、まだ一度しかリアルで会ってない。同期の仲が良いのが離職率低下につながっていたのに、新入社員がお互い敬語で話していて愕然とした。」

「社内での雑談がなくなったことで、若手の相談相手がいなくなった。ヨコの関係だけでなく、ナナメの関係が業務遂行にも、いざというときのセーフティーネットにも、改めて重要なのだと実感している。」

「出社時間が減って生産性は高まったものの、関係が希薄になり、若手社員のやりがいが激減している。社内には多様な知恵と経験を持った先輩、成長できる環境がたくさんあるのに、知らずに辞めてしまうのが本当にもったいないし、申し訳ない。」

「プロジェクトメンバーの中で、今後リアルで会ったことがない新人が増えていくと、これまで通りスムーズに進行できるか不安。また、互いの強みを知らないのでシナジーが生まれない。」

……実際、こういった声がぼくらのもとに届きます。そこで、UXジャーナルを運営する株式会社文殊の知恵として、「対話会」の提案をしています。といっても、ただの雑談会ではありません。ごりごりに特別なマニュアル通りに進める、マニュアル対話会です。

マニュアルが目的を達成させる

 雑談するのにマニュアルがあると聞くと、多くの人は「えっ」と(ややネガティブな印象の)驚きを見せます。「マニュアル人間」「あの人はマニュアル通りにしかやらない」など、マニュアルには画一的、形式的といった意味以上に、無機質で、どこかロボット的な印象を与えます。

一方で、無印良品の「MUJIGRAM(ムジグラム)」をはじめ、優秀な企業や組織はマニュアルを駆使し、クオリティの維持・向上を価値につなげてもいます。

文殊の知恵が提供する「対話会」は、マニュアル通りに進めます。自己紹介の仕方から、その場におけるファシリテーター(まとめ役)の決め方、あらゆる質問、さらには終わり方まで、みんな決まっています。窮屈だと思うでしょうか。けれど結果として、こうすることで大きな満足が得られ、目的に達成に貢献しています。

マニュアルを作ってみては

 もし、社内でこれから対話会や、オンラインの雑談をしよう、必要だ、と思われていたなら、どうぞ、マニュアルを作ってみてください。ただ時間をとって、「さあ、雑談しよう」という場合との違いを実感できるはずです。

ぼくの知っている会社は、飲み会マニュアル、ランチ会マニュアルまであります。目的があってやることですからね。「うまくいく」やり方を蓄積し、改善していくのは、決して無機質でも機械的でもありません。もちろん、それがすべてだとは思いませんけれど。

文殊の知恵の「マニュアル対話会」にご興味のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

雑談にこそ、マニュアルを。雑談がなくなれば、運もなくなる(かも)。