「アーユーハッピー?」わずかな言葉遣いからもユーザーはスタンスを感じ取る
2021.07.28

「アーユーハッピー?」わずかな言葉遣いからもユーザーはスタンスを感じ取る

2020→2021

 開幕しましたね、東京オリンピック。選手「以外」の話題ばかりでしたが、ようやく。警察官になった同窓生が警護をしていたり、昔ご縁のあった方が選手として出場していたり、これまでとは違う感覚で楽しんでいます。

変わらないことは選手の真剣な表情、緊張感、そして結果が出た時の感情の爆発。期間中、いろんな競技、選手を見つけて応援するつもりです。

オリンピックを検索したらハッピーかどうか聞かれた

 競技日程その他を公式サイトで確認しよう。そう思いスマホから検索しました。すると今流行りの「Cookie利用の許諾」の文面が表示されたんです。それがこちら↓

Cookieの同意画面自体は何度も目にしてきましたが、“ARE YOU HAPPY TO ~?”と訊かれたのは初めてのパターン。そして回答の選択肢がまたおもしろい。

ー Yes, I am happy
ー No, manage settings

新鮮な驚きを感じるとともに、私にとってはこれは良いエクスペリエンスでした。普段は細かく読みませんが、前段のセンテンスもいい感じです。

(1)ユーザーのパーソナライズ体験のために(ユーザーのメリット)
(2)オリンピックムーブメントを盛り上げるために(ユーザーができる貢献)
(3)YESしてくれたら私も嬉しい(サイト側の感情)

「英語っぽい」表現の仕方ではありますが、こういうメッセージの仕方もあるんだなあと思ったサイト訪問でした。

お時間があればみなさんもサイトを訪れて確認してみてはいかがでしょうか。ただ、日本語版だともうちょっとマイルドな表現になってますので、その違いを見るのもおもしろいですね。

東京2020オリンピック競技大会公式ウェブサイト

https://olympics.com/tokyo-2020/ja/

これってどう実現したの?

「アイムハッピー!」とクリックをしながら、これは誰が発案し、どんなふうに承認されたんだろう、と思いました。そもそもハッピーかどうか感情を訊くのは、「同意」を得る手段としてはイマイチなはずです。

この表現にこだわったところで、クレームを含むリスクはあっても、ユーザー満足度が高まる保証はありません。過去に実施した経験があれば別ですが、最初のチャレンジはどこでどのように始まったのだろうと妄想が膨らみます。

一つ想像できるのは、そうした議題があがる「会議」は、きっとだれもがアイデアを出すことができる場だろうな、ということ。私はそんな場が大好きです。

他のサイトはどうなのよ

 たまたま私は初見でしたが、他のサイトはどうなのかといくつか参照してみました。英語表記の文章だったものですから、じゃあGAFAの会社概要をみてみましょうと。なんだか夏休みの自由研究みたいですね。

(Facebook社の場合)

なるほど、ユーザーの選択自体を排除したパターン。

(Google社の場合)

こちらは「OK,Got it」、フランクですね。「Learn more」もよく見る表示。

会社概要じゃあサイトの性質が違いますので、ラグビーワールドカップのサイトではどうか。おお、これはこれで初めてのパターン。

長文の後にボタンが表示されます↓

許諾、拒否、設定の3種類から選ぶパターンもあるんですね。

3サイトを見てみましたが、オリンピックサイトはユーザーを「一緒にムーブメントを盛り上げる仲間」と見ていることが特徴的だなと思います。ちなみに「ARE YOU HAPPY TO ACCEPT COOKIES ?」と検索してみたところ、他のサイトでの使用事例も見つかりました。なるほど。勉強になります。

自分の世界観は言葉遣いに現れる

 今回の「Cookie利用の許諾」画面の言葉遣いは、他のサイトも同様に用意している場所だからこそ、ユーザーに対するスタンス、世界観の違いが比較できておもしろいです。よく使う言葉であればあるほど、無意識なので、受け取った相手には自分の想像以上に世界観が伝わっていると考えるべきかもしれません。

普段の私にとっても、自分が相対している方にどのような世界観が伝わっているのか、当たり前に使ってしまっている言葉遣いを見直してみようと思いました。また、なぜ自分がその言葉を選ぶのか、そんな視線で自分自身も振り返ってみたいと思います。

たかが言葉。されど言葉。あなたが発信する言葉から、ユーザーは世界観を受け取っている。

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